不動産の囲い込み問題|売主が損をする仕組みと3つのチェックポイント

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「売り出してから3ヶ月経っても内覧が来ない」「他社からの問い合わせがないと言われる」——その背景に「囲い込み」が関係しているケースがあります。囲い込みは売主が気づきにくく、損をしていても判断しにくい問題です。このコラムでは、囲い込みの仕組みと、売主が自分で確認できるチェックポイントを整理します。

01. 囲い込みとは何か

囲い込みとは、売却を依頼された不動産会社が、他社からの購入問い合わせを意図的にブロックする行為です。「物件はすでに商談中です」などと伝えて、他社経由の買主を排除します。

用語 意味
片手仲介 売主側と買主側を別々の会社が担当する。売主担当会社は売主から仲介手数料を受け取る。
両手仲介 1社が売主・買主の両方を担当する。売主と買主の両方から仲介手数料を受け取れる。
囲い込み 両手仲介を狙って、他社経由の買主をブロックする行為。売主の利益より自社の利益を優先する。
ポイント:両手仲介自体は違法ではありません。問題なのは、両手仲介を狙うあまり、売主に不利益をもたらす形で他社からの問い合わせをブロックすることです。

02. なぜ囲い込みが起きるのか

仲介手数料の仕組みを理解すると、囲い込みが起きる構造が見えてきます。

パターン 仲介手数料の受け取り 会社の収益
片手仲介 売主側から受け取る(売却価格×3%+6万円+消費税) 1社分
両手仲介 売主側と買主側の両方から受け取る 2社分(倍)

たとえば売却価格1億円の物件であれば、片手仲介なら約336万円、両手仲介なら約672万円が仲介手数料になります。同じ物件で1社の収益が倍になるため、両手仲介を狙うインセンティブが働きやすい構造です。

補足:多くの不動産会社は適切に業務を行っています。ただし構造上のインセンティブが存在することは事実であり、売主として知っておくことが大切です。

03. 売主にどんな損が出るか

1

買主候補が減る

他社経由の買主がブロックされると、市場に出回る買主候補が少なくなる。競争が起きにくくなり、値下げ交渉に応じやすくなるリスクがある。

2

売却期間が長引く

自社の買主が見つかるまで他社をブロックし続けると、売却活動全体が長期化しやすい。住み替えや資金計画に影響が出ることもある。

3

成約価格が下がる可能性がある

買主の選択肢が狭まると、価格競争が起きにくくなる。本来より低い価格で成約してしまうケースがある。

04. 囲い込みを見抜く3つのチェックポイント

① レインズへの登録状況を確認する

専任媒介・専属専任媒介を結んだ場合、会社はレインズへの登録義務があります(専任は7日以内、専属専任は5日以内)。登録後は「登録証明書」を受け取れます。登録されているか確認し、登録内容が正しいかを確かめてください。

確認ポイント:レインズに登録されていても「他社からの問い合わせ不可」に設定されているケースがあります。担当者に「他社からの問い合わせは受け付けていますか?」と直接聞いてみることも有効です。

② 販売図面(マイソク)がレインズに登録されているか確認する

レインズに物件情報を登録していても、販売図面(間取り・写真・詳細情報)が添付されていないケースがあります。図面がないと他社の担当者が顧客に詳細を説明しにくくなるため、実質的に他社経由の問い合わせを減らす効果が生まれます。売り出しから1週間以上経っても図面が登録されていない場合は、担当者に確認してみてください。

③ 販売活動の状況を定期的に確認する

売り出し後2〜3週間経っても内覧がゼロの場合、価格の問題か広告露出の問題かを確認してください。「何件の問い合わせがあったか」「どの会社から問い合わせがあったか」を担当者に聞く習慣をつけると、活動状況が把握しやすくなります。

05. 媒介契約の種類と囲い込みの関係

契約種類 複数社依頼 囲い込みリスク 対策
一般媒介 できる 低い 複数社に依頼するため、1社が囲い込もうとしても他社経由で買主が来る
専任媒介 できない 中程度 レインズ登録状況・図面添付・問い合わせ状況を定期確認する
専属専任媒介 できない 中程度 レインズ登録状況・図面添付・問い合わせ状況を定期確認する

一般媒介は複数社に依頼できるため、囲い込みのリスクを分散できます。一方で各社の活動管理が複雑になるというデメリットもあります。専任・専属専任は1社に集中して動いてもらえる反面、その1社の姿勢が結果に直結します。契約前に担当者の説明が具体的かどうかを確認することが重要です。

→ 媒介契約の種類と選び方|一般・専任・専属専任の違いをわかりやすく解説

06. 現場からひとこと

現場からひとこと:囲い込みは「悪意のある会社が意図的にやる」というより、構造上のインセンティブが働いた結果として起きることが多いです。売主として大切なのは、担当者を責めることではなく「活動状況を定期的に確認する習慣を持つこと」です。問い合わせ件数・内覧件数・レインズへの図面登録状況を定期的に確認するだけで、異変に気づきやすくなります。

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よくある質問(FAQ)

Q. 囲い込みは違法ですか?

A. 宅建業法上、依頼者の利益を損なう行為は問題とされますが、囲い込みの立証は難しく、グレーゾーンが多いのが実態です。売主として自衛するためにも、活動状況の定期確認が重要です。

Q. 囲い込みにあっているか確認する方法はありますか?

A. レインズへの登録状況・販売図面の添付有無・問い合わせ件数の定期確認の3点が有効です。売り出しから1週間以上経っても図面が登録されていない場合や、2〜3週間で内覧がゼロの場合は、担当者に状況を詳しく聞いてみてください。

Q. 一般媒介にすれば囲い込みは防げますか?

A. リスクは低くなりますが、複数社の管理が複雑になるデメリットもあります。専任・専属専任でも、信頼できる会社を選んで活動状況を定期確認すれば、問題なく進めることができます。

Q. 売り出してから内覧がない場合、何が原因ですか?

A. 価格設定・広告露出・囲い込みの3つが主な原因として考えられます。まず担当者に問い合わせ件数・図面のレインズ登録状況・他社からの問い合わせ状況を確認してください。

Q. 媒介契約を途中で解除できますか?

A. 専任・専属専任媒介契約は原則3ヶ月の契約期間があります。期間内の解除は可能ですが、会社によっては広告費用等の実費請求が発生するケースがあります。契約前に解除条件を確認しておくことをおすすめします。

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