都心3区、本当に
「買えない街」に
なってしまったのか。
渋谷区・目黒区・港区の中古マンション成約データを国土交通省の不動産取引価格情報から抽出し、シンプルエストが独自に分析しました。
※本データは国土交通省「不動産取引価格情報」に基づく成約事例の一部です。すべての取引を網羅するものではありません。
「高すぎて手が出ない」は本当か
「都心のマンションは2〜3年前に比べてさらに上がった気がする」——そんな声を、最近よく耳にします。実感ベースの話ではなく、実際の成約データで確かめてみました。
今回使ったのは国土交通省が公開している不動産取引価格情報。渋谷区・目黒区・港区の3区について、1LDK以上の中古マンション成約事例 合計2,284件を抽出・集計しています。
結論から言うと、「高い」は事実でした。ただし、区によってかなり顔が違います。
まず、3つの数字を見てください
1億円を超えていた割合
成約価格・中央値
3億円超だった割合
数字だけ見ると「やっぱり無理だ」と感じるかもしれません。でも、同じ都心3区でも価格帯は区ごとにかなり差があります。順番に見ていきましょう。
区ごとに成約価格は大きく違う
下の表は、3区それぞれの成約価格(中央値)です。平均値は高額事例に引っ張られやすいため、より実態に近い「中央値」で比較しています。
| エリア | 成約件数 | 中央値 | 平均値 | 坪単価(中央値) |
|---|---|---|---|---|
| 港区 | 1,147件 | 1億5,000万円 | 1億9,549万円 | 727万円/坪 |
| 渋谷区 | 647件 | 1億2,000万円 | 1億5,015万円 | 647万円/坪 |
| 目黒区 | 490件 | 8,850万円 | 1億185万円 | 488万円/坪 |
港区は中央値で1億5,000万円。渋谷区も1億2,000万円と高水準です。一方で目黒区の中央値は8,850万円。同じ「都心3区」でも、約6,000万円の差があります。
特に坪単価の差が顕著です。港区の中央値727万円/坪に対して、目黒区は488万円/坪。同じ60㎡の物件でも、区が違えば2,000万円以上の差がつきます。
間取り別で見ると、さらに差が開く
間取り別の中央値を区ごとに比較しました。「3LDKが欲しい」「1LDKで始めたい」など、具体的な検討の参考にどうぞ。
| 間取り | 港区 | 渋谷区 | 目黒区 |
|---|---|---|---|
| 1LDK | 9,900万円 | 8,050万円 | 6,450万円 |
| 2LDK | 1億7,000万円 | 1億4,000万円 | 9,800万円 |
| 3LDK | 2億円 | 2億円 | 1億2,000万円 |
| 4LDK以上 | 2億4,000万円 | 2億6,000万円 | 2億3,000万円 |
1LDKに絞ると、港区でも中央値は9,900万円。都心3区の中では相対的に手が届きやすい間取りです。2LDKになると港区・渋谷区ともに1億円台後半に跳ね上がります。
目黒区は1LDKで6,450万円、2LDKでも9,800万円と、同じ都心でも比較的レンジが低め。渋谷・港区よりも選択肢が広がりやすいエリアと言えます。
価格帯の分布を見ると、「都心3区の実像」が見えてくる
「中央値」は代表値として便利ですが、実際にどの価格帯に何件あるかを見ると、もう少し解像度が上がります。
| 価格帯 | 港区 | 渋谷区 | 目黒区 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 〜5,000万円 | 40件 | 59件 | 60件 | 159件 |
| 5,000〜8,000万円 | 138件 | 130件 | 148件 | 416件 |
| 8,000万〜1億円 | 160件 | 92件 | 91件 | 343件 |
| 1億〜1.5億円 | 258件 | 160件 | 141件 | 559件 |
| 1.5億〜2億円 | 189件 | 86件 | 33件 | 308件 |
| 2億〜3億円 | 187件 | 67件 | 9件 | 263件 |
| 3億円超 | 175件 | 53件 | 8件 | 236件 |
港区は「上に厚い」分布
3億円超が175件(全体の15.3%)。1.5億円以上を合計すると551件と、港区の成約事例の約半数が1.5億円以上です。超高額帯が全体を押し上げています。
渋谷区は「1〜1.5億円帯」が最多
1億〜1.5億円の160件が最多ボリュームゾーン。5,000万〜1億円帯も222件あり、港区より広い価格レンジに分散しています。
目黒区は「5,000万〜1.5億円帯」が厚い
5,000万〜1億円帯だけで239件。1億〜1.5億円の141件を合わせると380件が、この価格レンジに集中しています。3区の中では最もバランスよく分散した分布です。
「都心が買えない」のではなく、「都心のどこを買うか」という話
データを見て感じるのは、「都心3区は全部が高い」という均一なイメージとは少し違う、ということです。
たとえば目黒区では、5,000万〜8,000万円帯だけで148件の成約があります。渋谷区でも同レンジに130件。もちろん1LDKが中心にはなりますが、「都心に住む」という選択肢として現実的な価格帯の物件も、一定数は流通しています。
一方で港区は別格です。中央値1億5,000万円、成約の16%が3億円超。実需だけでなく投資・資産保全目的の取引も多く、価格の上昇圧力が3区の中でも突出しています。
「都心3区を一括りにして高すぎると諦める」よりも、エリア・間取り・築年数の組み合わせで実現可能な選択肢を探す方が、現実的だと思います。
このデータについて
- 出典:国土交通省「不動産取引価格情報」(2025年1〜4四半期)
- 対象:中古マンション等・成約価格情報・1LDK以上(2,284件)
- 本データはすべての取引を網羅するものではありません。市場全体の動向を保証するものではなく、参考情報としてご活用ください。
- 価格は「取引価格(総額)」をもとにしており、諸費用・税金等は含みません。
- 集計・分析はシンプルエスト株式会社が独自に行いました。
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