本記事のデータは国土交通省「不動産取引価格情報・成約価格情報」(2025年第1〜第4四半期)をもとに集計しています。恵比寿駅最寄りの中古マンション取引のうち、実需向けの1LDK以上に絞った112件を対象としています(1R・1K・1DK等の小型住戸は対象外)。届出・公開された取引の一部であり、すべての取引を網羅したものではありません。
「恵比寿のマンションって、実際いくらくらいするの?」
そう思って調べると、4,400万円の物件もあれば5億5,000万円の物件もある。幅が広すぎて、よくわからなくなりませんか。
今回は、国土交通省が公開している2025年の実取引データを使って、恵比寿駅エリアの中古マンション相場を整理してみました。1LDK以上の実需向け112件に絞っているので、「実際に住む人が買った値段」に近い数字になっています。一緒に見ていきましょう。
01. まず結論——恵比寿1LDK以上の相場感
中央値
1億3,000万円
坪単価(中央値)
710万円/坪
対象件数
112件
まずざっくりとした感覚値として、こう覚えてもらえると整理しやすいと思います。
01
1LDK
約 9,400万円
02
2LDK
約 1億4,000万円
03
3LDK
約 2億2,000万円
平均値は1億5,154万円ですが、5億5,000万円という高額物件に引き上げられています。「中央値」のほうが実態に近い数字です。中央値とは、取引を安い順に並べたときにちょうど真ん中にくる値のこと。極端な物件に左右されないので、相場感をつかむのに向いています。
同じシリーズで調べた他エリアと並べると、恵比寿は渋谷・神泉(1億1,000万円)より少し高く、表参道(1億6,500万円)・南青山(1億8,000万円)よりは抑えめ。都心の中では「手が届きそうで届かない」ちょうど中間あたりの相場感です。
02. 間取り別に見ると、もっとリアルになる
「1LDKと3LDKでここまで違うの?」と驚く方も多いんです。実際の数字を見てみましょう。
| 間取り | 件数 | 中央値 | 坪単価(中央値) |
|---|---|---|---|
| 1LDK | 46件 | 9,400万円 | 661万円/坪 |
| 2LDK | 40件 | 1億4,000万円 | 710万円/坪 |
| 3LDK | 20件 | 2億2,000万円 | 806万円/坪 |
恵比寿では間取りが広くなるほど坪単価も上がっていきます。1LDKが661万円/坪、2LDKが710万円/坪、3LDKが806万円/坪。これは南青山と同じ傾向です。広い部屋を選ぶほど単価も上がる——恵比寿は「広さのプレミアム」が乗りやすいエリアといえます。
一方、渋谷・神泉エリアでは1LDKと2LDKの坪単価がほぼ同じでした。同じ渋谷区でも、駅が変わるだけで坪単価の性質が変わってくるんです。
03. 地区によってこんなに変わる——恵比寿・広尾・中目黒
恵比寿駅の最寄り圏には、恵比寿だけでなく広尾・中目黒・三田など複数の地区が含まれています。住所によって相場がかなり変わるんです。
| 地区 | 件数 | 中央値 |
|---|---|---|
| 恵比寿 | 46件 | 1億4,000万円 |
| 東(目黒区) | 6件 | 1億4,000万円 |
| 三田(目黒区) | 9件 | 1億3,000万円 |
| 広尾(渋谷区) | 19件 | 1億2,000万円 |
| 恵比寿南 | 17件 | 1億2,000万円 |
| 恵比寿西 | 6件 | 1億500万円 |
| 中目黒(目黒区) | 9件 | 8,000万円 |
恵比寿・東・三田が1億3,000〜4,000万円台でまとまり、広尾・恵比寿南が1億2,000万円、恵比寿西が1億500万円、中目黒が8,000万円という並びです。
注目してほしいのが中目黒です。「恵比寿駅が最寄り」でも中目黒アドレスになると8,000万円台まで下がります。中目黒は中目黒駅も近く、おしゃれなエリアとして人気がありますが、恵比寿の中では割安な地区といえます。「少し予算を抑えたい」という方は中目黒・恵比寿西あたりも選択肢に入れてみると良いかもしれません。
また広尾は渋谷区アドレスながら1億2,000万円。表参道駅からも近い場所ですが、恵比寿駅圏の広尾は落ち着いた住宅街として根強い人気があります。
04. 築年数が価格に与えるインパクト
「築古だから安い」とはわかっていても、実際どのくらい違うのか。数字で見るとハッとします。
| 築年代 | 件数 | 中央値 |
|---|---|---|
| 〜1981年(旧耐震) | 15件 | 8,000万円 |
| 1982〜1989年 | 13件 | 1億円 |
| 1990年代 | 24件 | 1億3,500万円 |
| 2000年代 | 30件 | 1億3,500万円 |
| 2010年代 | 21件 | 1億8,000万円 |
| 2020年代 | 9件 | 1億5,000万円 |
旧耐震(1981年以前)の中央値が8,000万円。2010年代になると1億8,000万円。2倍以上の開きがあります。
注目してほしいのが1990年代と2000年代。どちらも中央値1億3,500万円で横並びなんです。「築25年と築35年で同じ価格帯」という意味になります。新耐震基準を満たしてさえいれば、1990年代の物件でも2000年代と価格差がほとんどない。ローンも通りやすく立地が良ければ、1990年代築は割安感があると思います。
旧耐震物件は価格が抑えられる分、いくつか注意が必要です。住宅ローンのフラット35が使えないケースがあること。管理組合で将来的に耐震補強の費用がかかる可能性があること。銀行によってはローン審査が厳しくなることも。「安い=お得」とは単純に言えないので、注意してほしいです。
05. 「駅近ほど高い」は恵比寿では成り立たない?
ここが恵比寿データの一番面白いところです。
〜5分
31件
9,900万円
6〜10分
65件
1億4,000万円
11〜15分
16件
1億4,000万円
駅徒歩5分以内の中央値が9,900万円。6〜10分が1億4,000万円。駅から近いほうが4,100万円も安いんです。
なぜこうなるのか。駅のすぐ近くには商業地域に建つ旧耐震の築古物件や、小型・投資用に近い物件が多く混在しやすいからです。「駅近」という条件だけで選ぶと、意図せず築古・旧耐震物件を引いてしまうリスクがあります。
渋谷・神泉エリアのデータでも同じ傾向が出ていました。都心の主要駅では「駅近=高い」という常識が通じないことがあるんです。徒歩分数よりも、築年・用途地域・管理状態をセットで確認することが大切です。
また改装の有無について見ると、改装済み中央値1億1,500万円・未改装8,500万円と、改装済みのほうが3,000万円高い。渋谷・神泉では改装済みが安い「逆転現象」が起きていましたが、恵比寿では素直に改装済みが高い傾向です。エリアによって改装の価値の乗り方が変わるのも、都心マンション市場の面白いところだと思います。
06. 恵比寿エリアで物件を探すときに、確認しておきたいこと
データを見てきたところで、実際に動くときに確認しておきたいポイントも整理しておきます。
01
「駅近」だけで選ばない
恵比寿では駅徒歩5分以内の物件が、6〜10分より4,000万円以上安い傾向があります。駅近物件には旧耐震・商業地域・築古が混在しやすいためです。徒歩分数より築年・用途地域・管理状態を優先して確認してください。
02
地区まで絞って予算感を確認する
恵比寿地区(1億4,000万円)と中目黒地区(8,000万円)では同じ恵比寿駅最寄りでも6,000万円の差があります。「どの地区に住みたいか」まで絞ってから動くと、予算感が整理しやすくなります。
03
旧耐震物件のローン・管理を確認する
1981年以前の築年数は旧耐震基準です。フラット35が使えないこと、将来的に耐震補強費用が発生するリスクがあること。価格が安い理由として頭に入れておいてください。
04
このデータはあくまで「参考」として使う
今回の112件は、届出・公開された取引の一部です。すべての取引ではありません。個別物件の査定や価格判断は、実際の専門家に相談するのが一番確実です。
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