都心の高級中古マンションやタワーマンションは、資産価値が落ちにくく実需としても魅力的な選択肢です。一方で、かつて一世を風靡した「タワマン節税」を巡る税制はここ数年で大きく変わりました。2024年の大改正に続き、2026年にはさらに規制が強化されています。ただし「節税効果がなくなった」かというと、そうではありません。このコラムでは、税金のルールが「昔どうだったか」「今どう変わったか」「それでも高級マンションに節税メリットがある理由」を、わかりやすく解説します。
昔のタワマン節税はなぜ「抜け穴」と言われたのか
2023年以前のマンションにかかる相続税の計算ルールは、現代の市場価格に追いついていない古い計算式のままでした。
国税庁の古いルール(2023年以前)
| 対象 | ルールの内容 | 問題点 |
|---|---|---|
| 建物 | 部屋の広さが同じなら、1階でも50階でも税務上の評価額は同じ | 眺望・階数プレミアムが一切反映されない |
| 土地 | 敷地全体の価値を総戸数で均等に山分け | タワマンは1戸あたりの持ち分が極めて小さくなる |
具体例:1億5,000万円が3,000万円に
都心のタワマン最上階(時価1億5,000万円)を例に見てみます。
現金のまま保有
1億5,000万円
相続税の対象額(そのまま)
旧ルールのタワマン評価額
約3,000万円
時価の約2割に圧縮されていた
2024年〜2026年の税制改正でどう変わったか
「不公平すぎる」として国税庁が動き、段階的に包囲網が敷かれています。
2024年改正:「6割評価ルール」の導入
「区分所有補正率」の導入により、古い計算式で出た評価額が実際の市場価格とかけ離れている場合、自動的に市場価格の最低6割まで評価額を引き上げるロックがかかるようになりました。
1億5,000万円
→
3,000万円
→
最低9,000万円
(6割)
2026年改正:「5年ルール」の追加
| 改正時期 | 内容 | 影響 |
|---|---|---|
| 〜2023年 | 旧ルール(時価の約2割に圧縮可能) | タワマン節税が横行。1億円超の圧縮も可能だった |
| 2024年〜 | 6割評価ルール導入(区分所有補正率) | 最低でも時価の6割で課税。極端な圧縮は不可に |
| 2026年〜 | 5年ルール追加(投資用は購入価格の8割で課税) | 短期の相続対策目的での購入スキームを完全封鎖 |
それでも高級マンションに節税効果が残る理由
「抜け穴が塞がれたなら、もうメリットはないのか?」というと、そうではありません。新ルールになった今でも、現金保有と比べると大きな節税効果が残っています。
新ルール適用後でも「4割引き評価」は健在
「6割まで引き上げられた」ということは、裏を返せば「いまだに4割(40%)低く見積もってくれている」ということです。
| 資産の形 | 相続税の対象額 | 現金と比べた圧縮率 |
|---|---|---|
| 現金 1億5,000万円 | 1億5,000万円(そのまま) | 0%(目減りなし) |
| 高級マンション 1億5,000万円 (新ルール適用後) |
約9,000万円 | 40%カット |
実需(マイホーム)なら「小規模宅地等の特例」でさらに強力に
ご自身やご家族が実際に住む「実需」での購入であれば、将来の相続時にマンションの土地部分の評価額をさらに80%減額できる「小規模宅地等の特例(特定居住用)」が使えます。
今の時代に賢い物件の選び方
昔は「高層階であればあるほど得」でしたが、今は高層階に行くほど新ルールの増税補正を受けやすくなります。現在注目されているのは以下のような物件です。
| 物件タイプ | メリット | 税制上の特徴 |
|---|---|---|
| 都心一等地の低層高級マンション | 立地が良く将来も値崩れしにくい。希少性が高い | 時価と評価額のギャップが極端に開かないため増税補正を受けにくい |
| タワマンの低層階〜中層階 | タワマンのブランド・設備を享受しながらコスト抑制 | 高層階と比べて階数プレミアムが小さく、新ルールの補正幅が小さい |
※本コラムの内容は一般的な情報提供を目的としています。税制は個々の状況や改正により異なりますので、具体的な税務判断は必ず税理士等の専門家にご相談ください。
高級中古マンションの販売物件一覧
よくある質問(FAQ)
Q. タワマン節税は2026年以降も完全にできなくなりましたか?
A. 旧来の「時価の2割に圧縮」という極端な節税は封じられました。ただし現行ルールでも、現金保有と比べると評価額が約4割低くなるため、節税効果が完全になくなったわけではありません。
Q. 「6割評価ルール」はすべてのマンションに適用されますか?
A. 区分所有マンションが対象です。古い計算式による評価額が時価と大きく乖離している場合に補正がかかります。時価との乖離が小さい物件(低層マンション等)は補正幅も小さくなります。
Q. 実需(マイホーム)で購入した場合の「小規模宅地等の特例」とは何ですか?
A. 被相続人(亡くなった方)が住んでいた自宅マンションを相続する場合、土地部分の評価額を最大80%減額できる制度です。一定の要件を満たす必要があるため、詳細は税理士にご確認ください。
Q. 2026年改正の「5年ルール」は実需購入にも影響しますか?
A. 主に投資用・賃貸目的での取得が対象です。実際に居住するマイホームとしての購入であれば、小規模宅地等の特例など別の優遇制度が適用されるため、影響は限定的です。詳細は税理士にご確認ください。
Q. シンプルエストでは税制を考慮した物件選びの相談もできますか?
A. はい。購入時の諸費用だけでなく、将来の売却・相続時の税負担も含めた観点からの物件選びをサポートしています。税務の専門的な判断は税理士と連携してご対応します。